はじめに

「カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方」を読み終えたので、その簡単な書評とメモを書く。

書評

組織文化がなぜ重要なのか、どのように作っていけば良いのか、単に理論的な内容のみを述べるのではなく、メルカリやマクドナルドなどでの具体例を紹介しながら解説された書籍で、個人的にはとても素晴らしい本だと思った。

組織文化というのは、非常にあいまいなもので、どのように役立つのかなかなか腹落ちしにくいものかとは思う。だが、本書を読めば、具体的にどう役立ったのか、実例を元に知ることができる。組織文化に興味はあるけど、いまいちよくわかってない、という方におすすめの本だった。

以下で、印象に残った部分の引用とメモを書く。

メモ+コメント

「弊社は人を大切にしています」「この会社の宝は、人です」
ー 経営者や人事担当者からしばしばそういった言葉が聞かれます。けれども果たして、本当に「人を大切にしている」と言える会社がどれだけあるのでしょうか。

冒頭から手厳しいけど、わかる。人が大事じゃない という経営者いないと思う。でも、それがどこにどう表れているかは別問題。

インターネットの発達やソーシャルメディアによって、誰もが発信することが当たり前になりました。どんなに企業がコーポレートサイトやリクルートサイトに投資して、素晴らしい企業と印象づけようとしても、実態が伴うなければ、それを隠し通すことはできません。

(略)

自社ホームページなのでどんなに聞こえの良いことを書いていても、社員一人一人がそれを再現していなければ、顧客の中に適切なブランドイメージを築くことができません。

ほんとそれ。様々な転職サイトや、海外であれば Glassdoor を見ればよくわかる。

週次で各部門を集めて会議を行い、事業計画や目標の進捗状況を報告している企業が、バリューに「透明性」と掲げているのなら、その会議に参加しなければ知れない情報があるのは問題です。

正論すぎて、どこかでプレゼンさせていただく際に引用しようと思った。これも、言動一致の重要性がわかる。一致していなければ、社員も当然それを信じなくなる。

企業のカルチャーは社内だけでなく、社会発信することも重要です。それには主に2つの理由があります。1つは社外パートナーとのプロジェクトを円滑に進めるため。もう一つは、採用活動や人材育成を優位に運ぶためです。

社外に発信し続けることで、Hiringにも効いてくる。

どんなに「私たちの会社はオープンかつフラットです」とカルチャーを対外的に発信し続けていても、実際入社した社員が「思いついたアイデアを部長に電話してみたら、『課長からなんで俺を通さないんだ』と怒られてしまった」(中略) と言う経験をしたらどうでしょうか。

正論すぎて良い。上司を飛ばすことを頭越しというけど、別に必要であれば頭越しにコミュニケーションしても問題ない。上司も理解して委譲しても良いわけで。

カルチャーの実態を検証することが可能になった

ピープルアナリティクス文脈とか、HR Techな領域。この検証を高速に回したさある。

ここで指摘したいのは、バリューが「ミッションを達成する上で必要な行動指針」であると同時に「何を捨てるべきか」を定義していることです。

捨てるの大事で、むしろ捨てるほうが多い気がする。

マネージャーによって行動や言動が異なっていると、組織として一環したカルチャーの醸成ができなくなります。そのため、7Sを可視化・言語化することによって、組織全体へとカルチャーを浸透させて行きます。

この辺りが書籍でしつこいぐらい言われている。

カルチャーガイドのような「ガイドライン」は、仕事のクオリティーを一定に保ち、スピーディーに遂行するためのガイドラインではありますが、「考える余地」があります。

自ら考える組織を育てることにつながるのです

理想ではあるが、すごいわかる。制度でガチガチで縛ると、従業員にとって思考の余地がなくなってしまう。

どこかで借りてきたような、他の企業でもよく言われてるような言葉ではなく、「この会社だからこそ言えること」「この会社しか言えないこと」を探すこと、そして経営陣や社員が心のそこから実現したいと思えることこそが、目指すべきビジョン・ミッションへと直結するのです。

幹部層みなが、ビジョン・ミッションを腹落ちして、メンバに伝え続けることが重要なんだろうなと思った。

チームリーダー経営で重要視されるのは、社内に幅広いネットワークを持ち、情報収集能力と社内調整力の高い人です。あくまでピラミッド構造を尊重し、表立って越権的な立ち回りをするような事は控えながらも、社内で共役員や重役に根回しを行い、事前承認を得ていれば業務がスムーズに進むのかを心得ている人。

なんというか、大変よくわかっておられるな、と思った。

経営スタンスは維持したままで、他社が行っている福利厚生制度の1つをそのまま真似して導入するなどと言う事は避けるべきです。カルチャーの一貫性のない施策は浸透しないばかりか、従来強みだったカルチャーが損われる危険もあるのです。

丸々コピーは前提が違うので上手くいかない話。Fearless Changeのパターンにもあるが、テイラーメイドが有効。

トップダウンからボトムアップと組織を移行する段階においては、えてしてトップと社員の間での期待値ギャップが発生します。例えば、社員たちは「明確に指示をしてほしい」とトップに期待し、一方トップは「自主的に提案して推進してほしい」と社員に期待するのです。

これもすごいわかる。

こうしたボトムアップ形で有志の活動を進める際には、会社全体を巻き込むことが欠かせません。そのためには、プロジェクトをリードする公募メンバーを誰が担うのかが極めて重要となります。

これベストプラクティスの1つだと思う。

メルカリ・カルチャー・ドックはピープル&カルチャーつまり人事部門が主体となって策定しましたが、その内容は極めて実務的なものです。それはカルチャーを担うのは人事だけではなく社員一人一人であり、その実行には現場レベルでのOpsとピープルマネジメントが欠かせないと言う信念からです。

(略)

一人ひとりの行動・言動まで落とし込むには、経営陣や人事だけでは足りず、日々のコミニケーションを取る現場のマネージャー一人ひとりのピープルマネジメントにかかっています。

カルチャーを浸透させるには、地道に浸透させていく。このためには、各マネージャに一定の腹落ちが必要だと思った。また、ピープルマネージャの役割が変わっていっている、という話でもある。

おわりに

ざっと読むだけなら2-3時間で読み終えられると思うので、なんとなく組織文化に興味ある方は一読をおすすめする。