社内のSlackや打ち合わせで、今年に入ってから「どうやって本を読んでいるんですか?」と聞かれる回数が複数ありました。これを機にブログポストにまとめておこうと思います。これまでに色々な読書方法+メモを試してきましたが、2022年時点で行き着いた方法という感じです。

前提

電子書籍(私の場合はKindle1)が販売されている書籍の場合は、電子書籍で購入します。電子書籍が販売されていない場合は、物理書籍を購入します。

電子書籍を優先する理由は次の2つです。

  • あとでまとめるときに楽なため
  • スマートフォンがあればどこでも読めるため

特に1つ目の「あとからまとめるときの楽さ」を重視しています。(理由は後述)

読み進め方

電子書籍と物理書籍で読み方が多少異なります。そこで、電子書籍と物理書籍とで共通する部分を最初に示して差分を説明します。

電子書籍、物理書籍共通

高速で読み流し

どちらのタイプの書籍であっても、基本的に高速で読み流ししていきます。読みながら書籍のタイプごとに異なる方法でマークをつけていきます。

高速で読んでいると完全に理解できないこともありますが、本当に自分に役立つ書籍は「こんなことが書いてあったな」と何度か読み返すことが多くあります。1度目に読み流していたとしても、何度も読むうちにじっくり理解+記憶していきます。

ただ、「高速に」といってもいわゆる「フォトリーディング」のような速読術を使っているわけではありません。書いてあることをざっと理解したら(時には理解していなくても)、次々と進んでいくイメージです。特に英語から訳された書籍の場合で、パラグラフライティングによって構成がしっかりしている場合は、トピックセンテンスを読んだ段階で残りを読み飛ばすこともあります。たとえば、ある書籍でAという抽象的な概念を伝えるために、X、Y、Zという具体例を挙げているとします。このとき、A(とX)を読んでしっくりきた段階でYとZは飛ばしています。

なお、すべての書籍が読み流しに適しているわけではなく、順序性が強く前の内容を理解していないと次に進めない書籍の場合は、じっくり読みます。たとえば、数学の書籍などが該当します。

全部読まなくてもいい

律儀にすべてのページを読む必要はないと考えています。書籍を読んでみて、「今の自分には必要ないな」と思ったら、少しだけ読んで次の本に行くことが多くあります。必ず全部を読もうとすると、ある1冊でドハマリした場合に読書が続かなくなるので、それよりは次の本でも良いのでどんどん読み進めたほうが良いと考えています。

なお経験上、不思議なことに5年など経ったあと、以前スキップした書籍を手に取ると、「なんて良いことが書いてあったんだ」と思うことがたまにあります。読んでいる自身を取り巻く文脈が変わっているので、「昔の自分には必要なかったけど、今の自分には必要だった」となっていることがありました。この経験から余計に全部読み切らなくても、「あとで役立つかもしれないからいいや」と思うようになりました。

電子書籍の場合

私はKindleを利用しているため、Kindleの機能でハイライトを多用します。特に重要だと考えている箇所、覚えておきたい箇所をハイライトしておきます。

Kindleの機能で自由記述のメモを付与することもできますが、これは使っていません。スマートフォンでのメモ機能はあまり強力でなく面倒なため、基本は読み進めることに特化して読んでいます。

ひととおり読み終えたら、 Kindleでハイライトした箇所をまとめて確認できるページへアクセスして、該当書籍でハイライトした部分をコピーして、Notionで管理する個人用のメモへペーストしていきます。

ペーストしたら、内容を整形します。そして、必要であれば「なぜそう思ったのか?」「どういう想いでハイライトしたのか?」「何に使えそうか?」など、そのときに思ったことをメモしていきます。

物理書籍の場合

高速で読み流していくのは電子書籍と変わりませんが、Kindleのハイライトではなくて、付箋を使います。付箋で覚えておきたい・メモしておきたい場所をマーキングしておきます。

ひととおり読み終えたら、Notionのメモページに音声入力で転記していきます。このとき、完全一致で文を起こすのではなく、少し解釈を加えて残しておくこともあります。

当然、Kindleで実施するよりも時間がかかります。前半で「あとでまとめるときに楽なため」と述べましたが、まさにこれが理由です。

読み終えてメモした後の活用方法

書籍をただ単に読んだだけにしておくと、(私だけかもしれませんが)驚くほど忘れます……。そして、忘れてしまうと、あとで必要になったときに掘り起こすのも難しくなります。

そこで、「記憶」と「活用」の2つの観点から、工夫をしています。

リマインドによる記憶

課題感を持って読んでいる場合は違うのですが、「あ、そういえば積ん読していたので読もう」という書籍の場合、何もケアしないと1年後に覚えている情報量は1%程度というような体感レベルです。

そのままだと読書の価値を活かしきれていないので、なるべくメモするようにしています。そのメモの方法が前述のNotionにまとめる方法です。

まとめたメモは、Notionのリマインド機能を使って、1か月後に「自分にメモを読み返すように通知」を飛ばしています。以前はSlackの機能でリマインドしていたのですが、Notion自体に機能があることを最近知ったので、リマインド方法を変更しました。

アウトプットによる記憶

経験上、自分で実践したり、講演で発表したりしたときが一番記憶に残っています。

その経験から逆算して「本当に良い本だな」「なるべく体に考え方を染み付かせたいな」と思った場合は、社内勉強会で発表の機会を無理やり作って講演するようにしています。たとえば、最近であれば次のスライドがまさにその実例でした。

An Elegant Puzzle: Systems of Engineering Management が素晴らしすぎたので、少しでも理解を深めようとスライドに起こして発表したのでした。(本書は洋書ですが、その読み方は要望があれば別の機会に)

メモした内容の活用

誰かから相談を受けたときや、講演の中、また打ち合わせやチャットにおいて書籍を引用すると、客観性が高まるため説得力が増します。適切なタイミングで引用するためには、高速で必要な内容を探し出せることが大事です。

私の場合はNotionのQuick Searchを使っています。なんとなく覚えているキーワードで検索することで、該当の書籍メモをみつけ出しています。特定の書籍と限定して覚えている場合には、Kindle側の機能で全文検索することもあります。ただKindleを開くまでに少し時間がかかるので、Notionをヘビーユースしています。

その他

本記事の主題は、書籍の読み方であるため、書籍の購入については取り上げていませんでした。ただ、読み方に関連する部分があるため、おまけトピックで取り上げておきます。

書籍の購入で意識していることとしては、打ち合わせなどで「知人や同僚から良いよ」と紹介があった書籍をすぐポチること、もしくは(積ん読が多い場合は)欲しい物リストに入れておくという点があります。幸いなことに優秀なメンバーと仕事をする機会に恵まれているので、彼ら・彼女らが言及する書籍は間違いないという印象があり、すぐ積むようにしています。同じ書籍を読んでいると、共通の語彙が増えるため、コミュニケーションが円滑になります。

他にも、良い書籍から引用されている書籍があれば、それも欲しい物リストに積むようにしています。欲しい物リストにある書籍は、Kindleは定期的にセールが開催される(執筆現在も、Kindle本 Black Fridayセール開催されている)ので、すぐに読めなくてもそこで購入しておきます。

まとめ

本記事では、2022年時点での、現在の個人的な読書方法を紹介しました。継続的に改善しているので、1年後にはまたマイナーチェンジしていると思います。少しでも読書の参考になれば幸いです。j

  1. 何らかの契機でKindle本が消失するリスクなどがありますが、1種にまとめる利便性を取っています