大変ありがたいことにお声がけいただいて、2025/7/19(Sat) スクラムフェス大阪2025のクロージングキーノートに登壇してきた。その時の資料は以下の通り、 SpeakerDeck にアップしてある。一部削っているが原則そのまま載せている。

全体は資料に譲るとして、1) 本記事では登壇に向けて何を考えていたか、 2) 登壇で特に伝えたかったこと、3) イベントで色々な方と話し、登壇を終えて考えていたこと、を記しておく。

登壇に向けて考えていたこと

月並みだけど、登壇の前はかなり不安になっていることが多い。当日はある程度開き直っているのだけど、それまでの数日が一番考え込んでいる。

ちなみに、クロージングキーノートで初めて登壇したのは RSGT2023 であった。RSGTのこれまでの歴代の講演を見て「これは本当に自分が話してよいのだろうか?」と、当時は心底思っていた。今回のスクラムフェス大阪でも同様に「期待に応えられるだろうか?」「この話で良いのだろうか?」と例に漏れず考えていた。結果、だいたい1週間前ぐらいから、ずっと悶々としながらストーリーを考えていた。

ストーリーを考える時は、ここ半年ぐらいのカレンダーを見直したり、読んだ書籍を見直したりしていると、伝えたいメッセージが出てくることが多い。すぐに出てこないとしても、通勤中だったり、ぼんやり買い物をしているときにふと思いつくことがある。なので、比較的新しい経験を思い出すのは一定効果があるのだと思う。

それとクロージングキーノートでいつも意識しているのは、クロージングまでのセッションで聞いた内容や、その日に廊下などでの会話を盛り込めないかどうか。今回も、直前で聴いていた@sasakendayoさんのセッションを引用させていただいたし、イベント前に参加者と話した内容を当日のトークに盛り込んでいた。

登壇で伝えたかったこと

今回のクロージングではいくつかメッセージを込めている。ただ、強いて1つ抜き出すとすれば、「自分を卑下しすぎなくていい」ということ。

なぜ、このメッセージを意図的に強調したいかというと、カンファレンスやイベントに参加するたびに元気をもらう一方で、「あぁ、これもできてないな」「〜さんのところはめちゃくちゃ頑張っている。あれは自分には難しすぎる」と凹むケースが個人的にあるためだ。特に聴いている内容によっては「それはそう!」「言ってることはわかる! だが実行に落とし込むのがしんどい!」と思っていることがよくある。

ただ、一方でそれでもやれる範囲で十分に頑張っている人がほとんどだと思う。みんな色々な環境条件・制約条件のもとで働いている。企業によっては予算制約が厳しいかもしれないし、別の企業では市場変化に苦しんでいるかもしれない。その十分な頑張りは、意外と認知・承認されることが少ない。というのも、同じ企業にいる別の同僚にとっては当たり前の制約であるためだ。

講演ではグッドウィルハンティングの1シーンの内容を引用させてもらった。ざっくり言えば「自分が選んでいなかった道は、なぜか困難や不確実性をないものとして考えてしまいがち。一方で自分が歩んできた道は苦労がわかっているから、公平に比較できない」という話。講演を聞いていると、他の発表者の講演が輝いて見えるのはこれが要因にあると思っている。

イベントで色々な方と話して、かつ登壇を終えて考えていたこと

まず前提として、イベント運営が素晴らしかった。(運営の皆様、大変お疲れ様でした&ありがとうございました)

アジャイル系のカンファレンスやイベントに最後までいると、会場撤収の速さにびっくりすることが多い。どこか段取りが落ちていても、例外が即捕捉されて自律的に対処が進むのは見ていて本当にすごい。

それとは別に、色々な方と話していて思うのは、この同じイベントに参加している人同士であっても文脈が全然違うということ。ソーシャルメディアでは、一部の情報発信力の強い人や企業が目立つ。アルゴリズムもそれを加速している。ただ現実では、本当に色々な状態が存在しており、これはその条件で働いている中の人と話さなければ、全く気付けない。その話す機会を得られるというだけで、イベントに参加する意義があると思う。学べるところも多いし、もしかしたら相手にとって何かしら有益な話をできることもある。なので、不定期であっても参加して、他企業の方とどんどん話していきたい。

最後に、アジャイルラジオで話を伺っていた、みさコーチと少しでもお話しできたことが感激ポイントだった。かなり前のエピソードだったので、具体的に「どこに」を失念してしまってお伝えできなかったのが心残りだけど、今度の通勤でも復習したいと思う。

おわりに

というわけで、またどこかのアジャイル開発イベントでお会いしましょう!