AI時代の競合優位性(MOAT)って、結局何なのだろう?と考えていた。あんまり従来と変わらないものが多いが、メモにしたので投下してみる。

1つ目はネットワーク効果。これは従来と変わらない。ソフトウェアのコピーは簡単になったとしても、参加者の関係性はコピーできない。たとえば、Xの機能はコピーできても、人が集まらないのでは意味がない。

2つ目は政府などの認可。これも従来と変わらない。認可プロセスを含む行政の仕組みはテクノロジーの進化速度に追従できるわけではない。将来的に変わる可能性はあるとしても、相当長い時間がかかる。ビジネスとして成立するには十分な時間だろう。医療だったり、交通だったり、防衛だったりでポジションを取れているならそれはMOATになる。

3つ目は物理で、特にインフラに近いもの。例えば、今から電力業界に参入して、電線などの物理まで敷くってのは、理論的にはできても現実的には難しい。AIに近い領域だと、データセンターを構築して運用できるのもMOATになる。ロボットも技術力に関連するが近い。

4つ目は資本力。3つ目に関連するが、データセンターの構築というのはもはや不動産と技術のセットであり、ちょっとした資金調達では太刀打ちできない領域。

5つ目は運用と責任のマネージド。何が言いたいかというとSIerの生き残りMOAT。AI時代で内製してものづくりできる企業はどんどん増える(し、良いことだと思う)。一方で、それを長期間にわたって脆弱性に対応しつつ、ユーザーサポートもしながら運用するのは簡単ではない。この辺を丸っと投げて受けてもらえるのには大きな価値がある。これも従来とある程度は一緒だが、その程度がAIで変わったんだと思う。

6つ目は顧客接点。これは古くからある企業が持っている強みの1つ。何らかの受注は、〜という技術が圧倒的に優れているから決まるというわけではなく、〜さんとの信頼関係が構築できたから決まったというのはとても多い。そのため、アカウント営業がすでに信頼を作っている場合は強い。(これを考えると、飲み会とかゴルフとかは強いんだろう)

7つ目はブランド。これもすでに持っている企業が強い。同じものを作っていたとしても、「〜社が作っているから」「〜の希少性があるから」というのは十分に選ばれる理由になる。人の記憶に強く残っているブランドのポジションまでは、AIではコピーできない。

8つ目は独自のデータ。現場のカメラで長年記録し続けた生データや、医療現場で日々蓄積される診断や検査のデータはコピーできない。こういうデータを取得できる立場を獲得して、評価のフライホイールを作れればそれがMOATになる。

と、ざっと書いてみた。実は多くに共通するのが「時間」である。時間をかけて構築したものが、MOATにつながっている。もちろん他にも色々とあるはず。何かあれば教えていただけるとありがたい。